設計レポート
小は大をかねる―豪徳寺の家
小は大をかねるDMs
第一回 限られた空間で大きく暮らすために
第二回 構造を考える-SE構法という選択
第三回 ワンルーム<一室空間>--ヒトの動き、モノの配置
第三回 ワンルーム<一室空間> - ヒトの動き、モノの配置
ワンルーム 限られたスペースで大きな暮らしをするために、2階を大きな共用の場とする・・
具体的にはどういうことなのでしょうか。

同じボリュームの空間を、壁で分割してしまうよりは、一つの部屋にした方が、広く大きく感じられる。
これはとてもあたり前のことに思われます。
ではただ単に広いスペースを確保していれば良いのかというと、それだけでは心地よい空間にならないのが難しいところです。

ヒトの動きやモノの配置を考え、そこで起こりうるであろう生活の様々なシーンを思い浮かべ、それに対しての適切な場をつくっていきます。
   
ヒトの動き

必ずしも使用目的や用途だけの使い分け、独りになる場所=個室、家族と一緒にいる場所=共有のワンルームという考えで部屋を分けなくても良いのではないでしょうか。

料理・洗濯・掃除などの家事を行う距離が近ければ、移動による負担も少なくなりますし、それらを表舞台に引き出すことによって、生活を楽しむことのできる気持ちの良い家になるのだろうと思います。



モノの配置

造り付けの造作家具にするのか、それとも後から設置する置き家具にするのかを考える必要があります。
それぞれに長所短所はありますが、建築と一緒につくり込まれた家具には、その家の一部であるという確かな存在感を感じさせられます。
この家ではキッチンのカウンターと吊り戸棚、部屋の中心に位置する背丈ほどの収納だな、階段の手摺を兼ねた浅い棚を造り付けました。
  
ヒトの動き
 
棚裏 モノの配置
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第二回 構造を考える-SE構法という選択
住宅における駐車場の位置は、計画を左右する重要なポイントです。
この家では駐車スペースを確保するために、2階の床をはね出す必要がありました。
そのはね出す部分の構造は、いったいどうすればよいのでしょうか。

今回は 
SE構法 を採用することにしました。その大きな特徴を二つ挙げます。

小は大をかねる 構造イメージ

構造計算(許容力度計算)をおこなう

通常の木造2階建て住宅では多くの場合が、建物の床面積と外壁面積から地震力・風力に耐えるために必要な壁の量を求める、壁量計算 という簡易的な方法が用いられます。
 しかし、この建物では 許容力度計算 を用いることによって、はね出し部分をはじめとして、柱や梁一本一本にかかる力の計算を行い、その安全性を確認しています。

専用金物による接合

基礎と柱、柱と梁の接合部に強度の高い専用金物を用いています。
この金物をつかうことによって、在来軸組み工法では必要となるホゾなどの仕口が不要であるため、断面欠損による強度の低下を防ぐことができます。 

このように構造計算や工法の選択など、なかなか表立っては現れないことの積み重ねによって、一見不可解な 
力の流れ を解析し、建物の安全性を確保しています。
なお、どの工法が良いかというのは一概にいえないため、その住宅の形状や使いたい材料、また敷地の状況も含めて選ぶ必要があります。

第三回 へ続く
第一回 限られた空間で大きく暮らすために
小は大をかねる 断面
この限られたスペースの中で、どれだけ大きな暮らし方をすることができるのか、それが当初からのテーマでした。

そして最適解として選んだのが、1階には最小限の個室を設け、2階を大きな共有空間とすることでした。
これにはただ単に平面的な間取りを考えるだけではなく、同時に高さ方向の断面も、即ち空間の容積をも考える必要があります。

北側の敷地に対する高さの制限があるため、いかにして建物の高さを下げるのかというのが、解決しなければならない一つの大きな課題でした。
そのために、通常は床下となってしまう空間を室内として使うこと、また、個室のある1階の天井高さを低く抑えることにしました。そのかわりに2階の共有空間を広く、高く感じられるようにすることで、家全体としてもメリハリがつき、限りある空間を最大限に生かすことができました。


設計レポート 第二回 へ続く