株式会社 鈴木工務店 ものがたり奏でる家

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建物完成見学会のときに、担当者が住まいについて、イラストや写真を用いて解説しています。

設計レポート 歴史をつむぐ「ふた棟」


第三回 「身の心も快適に」


家づくりでは、ほとんど複数の人々(家族になる)が同じ屋根の下で生活することを想定します。
それに、毎日顔をあわせることになるのですから、そこに住む人々の暮らしの関係性を考えなくてはいけません。

新しい暮らしにふさわしい関係性をつくる計画を検討しました。
まずは、何処まで、暮らしを共有するのかを考えてもらいました。玄関、浴室、キッチンの関係性は、それ以上の共有を考えるのか。サブ機能を設けたり、機能を分けたりとして日常の暮らしからくるストレスの軽減に努めています。
適度な間合いを考えたプランになっています。

お互いに愉しく暮らすには、時には孫と一緒に食事もしたいでしょう。おかずの一品でも差し入れするのもいいものです。さらっとした交流は互いへの気配りを増します。そんな場も家の中には必要です。

さて、時には自分だけの時間を持ちたいと思いませんか、そんな工夫もしました。
趣味の時間を一人こもらずに、相手にもわかる場所で楽しめたらもっといいと思います。
気配が感じられる関係性を大切にしてみました。

新しい暮らしが気持ちよい温熱環境で送れたらどんなにいいでしょうか。
通常、家の屋根には燦燦と太陽が降り注そいでいます。その太陽を「おもしろい、もったいない」の気持ちで活用したのがこの家です。
屋根にはOMソーラーと太陽光発電のクワトロソーラーを載せ、断熱性能も次世代省エネ基準の20%以上の高断熱化を図って、60%以上の一次エネルギー削減を目指しました。
省CO2先導の対象事業です。
sketch


第二回 「バトンタッチ」


長いアプローチを進むと正面に二階建てのYさんの家が目に入ってきます。

Yさんのいえに接して位置する玄関の左に平屋建ての大きい瓦屋根が見えるのが親世帯。
平面と立面計画で寄り添う統一感を出しています。
y tei kouzou
親の家には、ふた間続きの和室を設けることにしました。年に数回持ち回りの講がこの地域には残っており、その行事を大切なものとしてお考えです。次世代にバトンタッチすべく準備をされていました。

このふた間の和室の雰囲気を天井と床脇の収納に残すことにしました。更には、解体した建物から、欅の大黒、副大黒と縁桁の一部を使用箇所は同じではありませんが再利用しました。少しでも記憶を残す努力をして、歴史を紡ぐことにしました。

大黒柱には上棟年、大正14年と施主、家族の名前の一覧が記録されていました。現在の当主がまだ3歳の記載がありました。
そこで、今回も毛筆で平成の仕事を大黒柱に記録することにし、Yさんご夫妻に書いていただきました。小屋裏に隠れてしまうとはいえ、緊張がはしる一瞬でした。
構造見学会では作品をじっくりご覧いただけます。

次の世代へのバトンタッチに向って思い出を紡ぎ芽生えを備えた家です。

第一回 「ゆったりとした敷地」

rekishiYさんのお宅は市指定の保存樹木も生い茂る緑豊かな環境にあるゆったりした敷地で、町の喧騒も忘れさせてくれます。

凡そ90年になる日本民家にご両親が住んでおられました。

建て替えを機会にYさんは同居することにしました。同居に当たって独立性を確保しつつもまるっきりの分離は考えていませんでした。また、マンション住まいが長かったので自然素材や暮らしに思いを持っておられました。

ほどよい距離感を考え「親用」の住まいを敷地奥で「平屋」に、「Yさんの家族用」を手前に二階家の「ふた棟」にしました。この二つの建物の外観、平面においてもそれぞれの住まい手にふさわしく、環境にも違和感のない住まいを求められた気がしています。

そこで、庭は極力手をつけず、その庭を日々の暮らしで堪能することにしました。暑い夏には、心地よい風が枝と木陰を抜けて吹きますし、冬は木漏れ日を一日楽しめます。

「ふた棟」の家は、中庭に面した玄関を挟んで分離しましたが、家の顔の玄関は一つにしました。もう一箇所の共用部分は浴室ですが、洗面所はそれぞれの家に設けました。浴室当番は若世帯でしょうか。また、広い浴室は温泉気分を楽しめます。

新しくなった住まいでも、原風景を残し、お互い他人行儀ではない心持とふれあいを大切に考えさせられた気がします。
kaitai mae
写真:解体前