
ピアノのあるリビング。床材には硬いローズウッドを使用しているので耐荷重に優れ、濃色なのでピアノの黒色との相性も良い。
自然の中にたたずむような住まいに
以前、オリジナルの造作家具を鈴木工務店でつくり長年愛用しているYさんご夫婦。そのご縁から、家を建てようと思った時に鈴木工務店に真っ先に声をかけてくださりこの住まいができました。
里山が残る土地で、家の目の前に緑地公園の樹々が茂り、1階のリビングや2階の窓から自宅の庭木のように眺められます。「自然の中に常にいられればなと思いなるべく窓を大きくとっているんです」と話すのは山登りが趣味だというご主人。家づくりのイメージを考
えた時に“山小屋”みたいにしたかったと考えていたそう。たしかに住宅街ということを忘れて、まるで森の中にいるかのような感覚になります。
家族構成はご夫婦と娘さん息子さんの4人は南北に細長いので北と南にそれぞれ庭をとり、南庭に配置した大きなデッキと庭を囲むようにL字に建物を配置しています。通りに面した南庭には塀の代わりに小屋のような風情のある外物置を置くことで、通りからの視線をゆるやかに遮ります。
1階は奥様のグランドピアノを中心に構成したLDKと、玄関土間を挟んで独立した離れのような和室をつくりました。2階はリビングとつながる吹き抜けを中心に洗面室や風呂、トイレなどの水回りに加え主寝室や子ども部屋が配置されており、それぞれ個室はありつつも引き戸を開け放つと家中の人と人、空間がつながる、そんな住まいです。

リビングやデッキを中心に人を招きやすい雰囲気と外観のため、工事中は通行人に「お店ですか?」と聞かれることも。庭に緑地公園の樹影が映る。
Yさんご夫婦は家づくりをするにあたって小物にもこだわりポイントが色々あったようです。2階吹抜けの木でできたランプシェードや洗面台には木フレームの鏡、絶対に水を跳ねさせたくなかったからと選んだ深めの手洗い器…。その中でも印象的だったのがテーマカラーです。それぞれ1階は緑色で2階は青色と決めていて、のれんや壁の色などアクセントとしてそれぞれの色を入れているのだそう。それがちょうど上階下階で分かれているのも相まって空の青と森の緑のように目に映り、ご主人の「自然の中に常にいられればな」という言葉とリンクします。

上/主寝室も引戸を開けると廊下と一体の空間に。 左下/2階吹抜けにはカウンターも設置してあり、ちょっとした作業に便利。 右下/ 玄 関土間から直接入れるトイレと洗面台は、庭も使ったコンサートをイメージして計画。鏡と手洗い器は奥様のセレクト。
ピアノのあるリビングに集う
この住まいの中心である1階リビングには、奥様が弾くグランドピアノが置かれています。ピアノの横の南窓を開け放つとみんなで集まれるデッキが続き、窓脇にある2階への階段はちょうど観客席にもなるそうで「友達をよんで演奏会をしたいと思って」と奥様。実際のところは「まだ演奏会はしていないけれど、家族がいる時にピアノを弾いてみたり、娘や息子の部活の友達や先生が人ぐらい遊びに来てみんなでごはんを食べたりしています」と、なんだか素敵で楽しそうな使い方をされていました。

階段が観客席に。吹抜けを通じて2階にもピアノの音が広がる。

リビングから直接出入りできるデッキでは山岳部の娘さんも登山の道具のお手入れをしたり、愛犬と遊んだり。
「こうしてよかった」とご夫婦が口をそろえていたのは、玄関から土間を挟んで独立している和室と、2階の奥にある小さな書斎のような空間。開放的な家だからこそのこもれる場所として気に入っています。和室は客間になったり、1人で瞑想したい時にとても便利です。生活感を出さないように物を持ち込まないようにしているそう。そして、2階奥の小さな書斎スペースはドアがないのにリビングなどからの物音や声があまり届かないので、オンライン会議などをする時に重宝しているとのことでした。家の中でも1人になれるスペースってけっこう大事ですね。

左/玄関土間の奥にある和室。右/2階の小さな書斎。普段は旦那様が使っている。
家づくりをしていた時に思い描いていたものを飛び越えて、ピアノのあるリビングを中心に人と人、自然と人をつないでいる。そんな住まいがそこにはありました。
TIPS
◆楽器を楽しむ家には吸音板を
一軒家でも楽器の音は外に漏れてしまうもの。この家ではリビングの壁一面に吸音と反響音を防ぐために木質繊維系下地板の上に木製格子を設置。仕上げのアクセントにもなり、窓を閉めれば音漏れも防げて、室内でもやわらかい音色になる。
◆豊富な収納を
化粧品やヘアケアセットなど細々としたものがかさばる洗面台。鏡の裏などに大容量の棚を設置することで使いやすく整頓しやすく収納できる。
◆カウンターやキッチンの高さは “標準” よりも使いやすさ
造作キッチンやカウンターをつくる場合は自身に使いやすい高さに。特に机代わりの場合、どんな作業をするのか想定してから依頼を。
【建築概要】
竣工:2024年
敷地面積:229.95㎡(約70坪)
延床面積:114.61㎡(約35坪)
photo: Chika Suzuki
text : 鈴木工務店






