存在感を放つ板張りの外壁。その魅力とメンテナンス性とは

先週末の土・日に開催した玉川学園の見学会会場から。今回も感染拡大防止対策として、組数を限定してのご案内でした。梅雨明けの夏日にご来場いただきました皆さまへ、改めてお礼申し上げます。

玉川学園の家「自然にくらす」の見学会から。外構は別途工事で、住まい手の構想が膨らみます。「大きくなる樹を植えて、森の中の家にしたい」といいます

板張りの外観の魅力とは

さて、杉板張りの外観です。鈴木工務店ではいろいろなデザインの外観を提案していますが、板張りの外壁はおすすめのひとつです。

まず、存在感のあること。今回の見学会でも、アプローチを含む外構は別途工事で手付かずでしたが、ご来場の方々は外観に視線がいき、本物の木がもつ均質ではない表情に関心を寄せた様子でした。

写真は東側外観です。南側の外観は後日Worksにアップしますのでお楽しみに。

板張りのメンテナンス性は?

15ミリの杉板にウッドロングエコ(自然系塗布材)を施しています(今回は施主様のDIY!)。耐候性を高めるもので、ペンキのような塗膜による保護とは異なるため、塗装が剥げたから塗りなおすといったメンテナンスは不要です。一方で、紫外線による影響で銀白色に変化したり、北側など日の当たらない面では黒ずんできたり、経年による表情の変化は顕著です。

それらを劣化ととるか、自然の変化ととらえるかは住む人次第。素地の無垢板を張った築15年の家がありますが、塗り直しなどの手入れはしていません。木は焼けたり、逆に黒ずんだ部分もあったり、迫力を増しているようにも見えます。

神社仏閣や海沿いの民家に板張りが見られますが、銀白色に変化した外壁は美しくさえあります。(主観ですが)

素地の無垢板張りの外観。竣工から数年たったころ。現在(築15年)ではさらに表情が変化しています

板張りのお手入れは?

もちろん、日々のお手入れは大事です。湿気のあるところでは壁に沿って物を置かないこと。建物の外周をぐるりと回れる配置の余裕も必要です。目視による不具合の早期発見が、建物を健全に保つポイントになります。外壁にかかわらず、防蟻の観点からも有効です。そのため、立地環境によっては板張りとは違う提案をすることももちろんあります。

縦張りと横張りの違いは?

玉川学園の家は縦張りです。立て板に水、というように水がさっと流れていきます。横張りでは、上から重ねをつくる鎧張りで雨水の侵入を防ぎます。

どちらも外壁としての性能は担保されますが、その印象は大きく異なります。鈴木曰く、縦張りはニュートラルな印象で、横張りにすると洋風な印象になるそうです。外観デザインは、好き嫌いのほかに周辺環境とのなじみも考えて決めると長く愛着の湧く住まいになります。

梨園農家の家。横張りの外壁。屋根の形状など、全体のプロポーションや周辺環境との調和を考えて外壁のデザイン(縦張り、横張り)を決めていきます

縦張りの2棟。一つの敷地に配置の角度を違えて建っています。日の当たり方で板目の陰影に違いがあるのがわかります