育てるいえ・かきのたねvol.43より

つくり込まずに余白を残した、若いご夫婦の家づくり。これから家族が増えたり、庭しごとを楽しんだり、暮らしながら育てていく家の物語です。

一からの家づくりを楽しむ

「先に建ててよかったと思います。結婚したら子供を授かる前に家をつくりたかったので」 そう話すのは、今秋、第一子を出産予定のMさんご夫婦。共働きで忙しいお二人は、20代後半で計画的な家づくりに着手しています。鈴木工務店との出会いは、町田市の地域情報誌『まちびと』(2021年春休刊)に連載されていた住宅記事。木の家に興味があり、完成見学会などのイベントに参加されたのが始まりです。


若くして土地購入からの家づくりを実現されたお二人は、シンプルで暮らしの変化に対応する住まいを模索しました。一からつくる注文住宅はコスト調整や代替案の検討などいくつものハードルを越える必要がありつつも、設計の打合せは楽しい時間だったといいます。「設計の片岡さんはどんな事にも耳を傾けてくれました。“それは無理です”と切り捨てず、代わりのアイデアを出してくれて。次々と住まいのイメージが湧いたよね」とご夫婦は顔を見合わせて話してくれました。

暮らしに合わせてDIY

Mさんの住まいは延床面積約25坪。住宅街の南西角地に建っています。塀や外壁の一部に杉板を張り、周囲の住宅に比べて軒先をやや低く抑えた佇まいは、コンパクトながら存在感を放っています。

ワンルームの1階LDKをすっきりとした状態に保つのは、玄関土間に続く納戸やキッチン横のパントリーといった集約型の収納です。大工の造作家具による分散型収納も便利ですが、M邸では納戸のような空間を用意して、物量や使い勝手に合わせて棚等をDIYしています。コストコントロールの意味合いもありますが、Mさんは自分で手を動かすのが好きなこともあり、ほかにも主寝室の珪藻土塗りや、木塀の保護剤塗布などをお二人(ときにご実家のご家族も参加して)で施工しました。

2階は主寝室と水まわり、子供室予定のフリースペース(ホール)があります。ダイニング上部の吹抜けは、上下階の空気の循環経路を確保しながら、将来増床することも可能です。庭のデッキテラスも手づくりで、ご家族やご友人とBBQをしたり、休日はご夫婦二人でお庭ブランチを楽しんだりするそうです。

住処があることの安心

「家が完成したのはコロナ禍より前ですが、玄関脇のコート掛けや手洗い場は生活様式が変化した今も便利ですね」とMさん。2020年から続く外出自粛で、自宅で過ごす時間が増えましたが、「自分たちで育てていく家では、まだまだやることはたくさんある」と話します。庭木のオリーブも自ら植えて、最近ではトマトやピーマン、枝豆などの家庭菜園もはじめました。

「世の中も、自分たちのライフステージも変化していく中で、住処があることの安心感は大きいと思います。なにせ家でのストレスが少ない」とMさん。お子さんの誕生後は収納を増設しようとか、子供部屋はどんなふうに仕切ろうか等々、Mさんの「家の仕事リスト」はまだまだ続きます。

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