6/15(日)に開催する戸建てリノベーション完成見学会「千代ヶ丘の家」を紹介します。
既存住宅の瀟洒な雰囲気を残したフルリノベーション
築30余年のいわゆる邸宅(敷地面積490.47㎡、延床面積196㎡)です。緑とバラの茂る庭と、瀟洒な外観を気に入った新しいオーナーによるフルリノベーションが完成したのは、昨年の8月。そこから、残暑を避けて、オーナーが自ら庭づくりに励まれました。そして今夏に、見学会の機会をいただいたというわけです。
フルリノベーションの第一の目的は「寒さの解消」でした。築年数を経た住宅の弱みである温熱環境を、断熱リノベーションで向上させています。同時に、質感のある外壁とスパニッシュ瓦風の屋根、職人の手仕事が残る和室や建具の一部を残しながら、新しいオーナーの暮らしとセンスを反映するプランニングも実現しています。
光と景色を取りこむ大開口と吹抜け

before 1階リビング

after 1階リビング。上部に吹抜けを新設して空と庭を取りこむ窓を設けました
リノベーションのイメージはオーナー夫婦で初めから揃っていたわけではありませんでした。設計サイドも、単なる御用聞きではありません。それぞれの考え方を聞き取りながら、既存住宅の状況と周辺環境、庭との関係を考えあわせて、プロとして提案していきます。
提案の中には、リビング上部に吹抜けを新たにつくるプランもあり、オーナーの共感を呼びました。豊かな庭や高台の土地から望む空の景色を取りこみ、冬は陽光が射す大開口は、実際の暮らしが始まってからその魅力を発揮しています。

after 2階からリビング吹抜けを見た秋の風景
断熱改修はもちろん、必要に応じて構造の補強や間取りの変更も行ってきた鈴木工務店では、吹抜け新設などのドラスティックな提案も可能です。今年の4月から、大規模改修については建築確認申請必須の改正法が施行されていますが、弊社では以前より、構造や温熱の計算をリノベーションでも行っています。
ちなみに、鈴木工務店は設計施工を特徴としていて、打合せは営業ではなく一級建築士が行います。施工管理者も一級建築士と一級建築施工管理技士です。プランニングと住宅性能、施工までを提案と精度をもって行えることがポイントです。
リモートワークや来客を受け入れる間取り

仕事部屋のガラス扉からは、タイル張りの玄関を挟んだ向こうに、額縁のような窓に彩られたダイニングが見通せます
既存住宅の魅力は残しつつ、間取りは、仕事も暮らしもパワフルにこなすオーナーの暮らしに合わせて変更しています。広すぎた玄関土間はリモートワークの部屋に。玄関吹き抜けをなくして床を新設し、2階に主寝室を設け、バスルームも隣にレイアウトしました。
また、床に段差のあったLDKは、フラットでひとつながりの大空間に生まれ変わりました。もちろん、底冷え防止で床にも付加断熱を施しています。
そのほか、ゲストルームには欄間や建具に建築当時の職人の手仕事が残る和室をそのまま残して活用しています。国内外の友人や家族にも好評とのことです。

和室は、造作の建具や京壁(砂壁)もそのまま残して、ゲストルームなど多目的に使っています
住まい手のセンスを取り入れた仕上げ
床や水まわりのタイルはオーナーが貼り方にも気を配りセレクトしました。キッチンや浴室の住宅設備にもこだわり、リノベーションで理想の住まいを叶えています。
「壁のやわらかい白と、真鍮がもつ暖かみのあるゴールドの組み合わせが好きなんです。全体のインテリアもこの組み合わせに合わせています」とオーナー。照明の金物や床の見切りにさりげなく使われている真鍮色が効いています。
新築に比べると、リノベーションは既にある空間の枠内でインテリアを考えられるため、住まい手にとってもイメージがつかみやすく、好みを具体的に反映しやすいといえます。それこそ、リノベーションの醍醐味ですね。

フラットにつながるダイニングとキッチン。壁のキッチンタイルにも注目です
内と外の仕上げを残す、付加断熱の組み合わせ
意匠設計はもちろんのこと、構造に関わる間取りの変更や、目に見えない温熱環境の計画なども設計力と施工実績が問われるところです。今回は、断熱改修によって断熱等性能等級を6.5まで高めています。床・壁・天井に断熱材を付加し、出来る限りすき間を塞いで気密性能を高める施工を行っています。
建築当時の刷毛引き仕上げの左官壁を生かすために、建物の大部分は既存の断熱材の室内側に付加断熱を施しています。和室だけは既存の砂壁を残すために外断熱を採用し、ジョリパットの刷毛引きで仕上げました。(詳しくは現場blogでレポートしています)
さらに長く、快適に暮らせる住まいに
この建物は木造の躯体もしっかりしていて、前オーナーによる手入れもよく、築年数を経ていても生かせる部分が多い良好な物件でした。その、「生かす」ための施工には、さまざまな工夫が必要で、先の断熱施工の組み合わせもそのひとつです。
よく鈴木工務店では「家が暖かければ(夏は涼しければ)、ずっと住み続けられる」と言っています。経年した家や、実家を建替えたいと希望する人の多くが、「寒い」「暑い」を第一の課題に挙げているのもその証左ですね。
住む人のライフスタイルや好みを反映するのと同じくらい大事なのが、温熱を中心とした(築年数や状態によっては耐震補強も)建物の性能を高めてあげることです。せっかくリノベーションするなら、ストレスフリーで長く快適に住める家にしたいものです。
今は、リノベーションでも住宅性能評価により数値で性能を確認することもできます。実感値とあわせて住宅の資産価値も住み心地も、長らく快適に保てる家を実現できるリノベーションの可能性は、6月15日(日)のリノベーション完成見学会で体感できます。
(text. 鈴木工務店 広報・営業/宅地建物取引士 畑野暁子)
詳しくは、こちらのイベントサイトからどうぞ↓
戸建住宅リノベーション完成見学会「千代ヶ丘の家」@麻生区 | 株式会社 鈴木工務店
過去の現場blogはこちら↓
大規模改修進行中。既存を生かしながら新しい住まい手の好みを反映するこだわりのリノベーション@麻生区 | 株式会社 鈴木工務店