暮らしのコラム『第2回 農てんきなくらし~オジサン開墾はじめました~ 季刊誌かきのたねvol.59より

青々と緑肥が生い茂る元耕作放棄地。

8月9月と炎天下で草刈り三昧。毎日、筋肉痛と日焼けでボロボロになりながら動いていたオジサンです。

正直ナメてました。「草を刈って混ぜればすぐ畑でしょ」なんて軽いノリ。でも現実はそんなに甘くない。刈っても刈っても草は生えてくるし、それを細かく砕いて土に漉き込む作業は、想像をはるかに超える重労働。地面がガッチガチで、「土をほぐすってこんな大変だったの!?」と毎回凹むレベルです。

草刈りに励んで…土地に草を漉き込んで…


でも、この「ほぐす」が意外と気持ちいいんですよね。固い土が少しずつ柔らかくなると、自分の心や身体までほぐれていく感じがある。腰は悲鳴を上げても、作業が終わるころにはなぜかスッキリ。農作業って、体を酷使しているのに心は軽くなる、不思議なエクササイズなんです。

もうひとつハマっているのが「分解」という現象。草や木を土に返すと、微生物や菌がせっせと働いて細かくしてくれる。そうして新しい土に変えていく。これって腸の働きとまるっきり同じ。最近流行りの「腸活」だって、食べ物を分解して身体を整える環境作りでしょ? つまり、畑にとっての腸が「土」なんです。

ようやく耕作地らしくなりました。

土も腸も「ほぐして、分解して、次へつなぐ」。仕組みは違ってもやっていることはそっくり。そう考えると、人間と自然ってやっぱりつながっているんだなあと実感します。

少しずつ耕作放棄地が農地っぽくなってきました。次はいよいよ、柔らかくなったこの土に種まきです。さて、どんな芽が出てくるのやら――能天気にワクワクしているオジサンです。

【プロフィール】
野口泰昭/薬師台メディカルTERRACE代表、(医)泰大会イキイキチイキ室担当。近所の皆様の健康と向き合いつつ、医療・治療のベースとしての農業を始める。(法人本部事務所棟 設計施工:鈴木工務店)

『第1回 農てんきなくらし』はこちらからご覧ください↓
https://www.suzuki-koumuten.co.jp/article/24057/