徒然とおる『涼を求めて』

今、お住まいの家は、暑い夏を快適に過ごす工夫をされていますか。例えば、ガラス戸を網戸に、襖を葦戸に替え、軒先には葦簾(よしず)を立て掛けるなどして、涼しい風を取り込み直射日光を遮る、風鈴や室礼で涼しげにするなど、昔ながらの工夫をする。そうすることで、冷房を使う以前に、まず家そのものが自然を受け入れられる環境を作ることができます。
1794(寛政6)年に建てられた旧松代藩士横田家の住宅を見学しました。横田家は禄高150石の中級武士で、郡奉行などを務めた家柄。住宅の1階は続き間で、間の繋がりの変化が楽しい空間になっており、また2階に一部屋だけ設けられていることが、この家を特徴づけています。2階の部屋の天井は低く、北面以外の3面は壁で覆われているのですが、北面には庭や畑を望めるバルコニーのように迫り出した部分があります。ここにかがんでいると心地良い風が吹き抜け、太陽に照らされた木々の緑や畑作物が目を楽しませてくれました。この部屋は夏の部屋としても重宝していたのではないかと思います。そういえば、鶴川にある旧白洲邸武相荘の白洲正子さんの書斎も、低い天井の陰影がある北側の小納戸部屋でした。北側の部屋を夏の小部屋として設らえてみてはいかがでしょうか。(MY TOWN掲載コラムより)

※最新号の『MY TOWN』掲載コラムのタイトルは「いえづくり・もう1つの選択」です。毎月15日発刊、新百合ヶ丘周辺の店舗等に設置されています