風景がとけこむ住まい
山々をのぞむ自然豊かな土地に建つこの住まいに、Yさんご夫婦と3人のお子さんは暮らしています。高低差のある敷地と、眺めの良い土地柄を活かし、鈴木工務店ではちょっとめずらしい「スキップフロア」の家です。車庫から半階分上がったところに玄関とキッチン、ダイニングがあり、そこからさらに半階上がったところにリビングと書斎、さらに上に寝室と洗面所などの水まわりがあります。
リビングの窓の外にひろがる川沿いの桜並木は、春のとっておきの楽しみ。「もうここの窓が全部“桜”なんですよ。こんなに山も近く感じることができて、一応ここ、東京だよな〜って。ほんと理想です」と奥様。夜遅くになると、家の前にイノシシやタヌキが歩いていることもあるのだとか。

山並みと桜が一望できるリビングの大きな窓。
「どこに座っても景色が開けているので、どこも居心地がいいです」というご主人は、朝起きるとまずリビングの北窓のロールカーテンを開けます。そうすると、窓から見える山々に朝陽があたってとてもきれいで、それからキッチンに降りてくると、またそのキッチンの窓からも朝焼けした山が。それが一番好きな瞬間だそうです。
そんな四季折々、時間帯によっても違う景色を楽しめるこの住まいには、さらに“外”を取りこむ工夫があります。それは、玄関から庭側の掃出し窓まで延長した広い“土間”です。

玄関と掃出し窓をつなぐ土間。小上がりの畳からの眺め。
もともとはご主人の趣味であるバイクを置くためにつくられたこの土間。住んでみて友達家族が来たり、広い庭で子どもたちが遊んだり一緒に野菜を育てるようになると、奥様はその使い勝手のよさに気が付いたといいます。「多少汚れても電動モップで掃除すれば綺麗になるし、大人数でも玄関が混むことがなくなって、とっても寛容になれるんです」。
もちろん土間には、ご主人の存在感のある赤いバイクも置いてあります。「小上がりの畳に座って、バイクの後ろからの姿と、鏡に映った前からの姿をぼーっと眺めるのがいいんですよ。贅沢やな〜って思います」と嬉しそうに教えてくれました。

土間からそのまま出ることのできるウッドデッキは家族の憩いの場。

ウッドデッキから子どもたちが自転車を乗り入れて遊ぶことも。
半階ずつかさねる家族の時間
ダイニングやリビングなど、それぞれの共有部分の居場所を仕切るのは、ドアではなく半階分の階段です。そして、その階段でも腰掛けたり、子どもたちが遊んだり…。ひとつながりの広い空間の中に変化を楽しめるたくさんの居場所があり、家族が”ほどよい距離感“でいられるのです。奥様は、キッチンにいることが多いそうですが、「キッチンから中も外もいろんな景色が見えて、目の届くところで子どもたちが遊んでいるのも安心できるし、なんだかコックピットみたい」と話してくれました。

家中のちょっとしたスペースに、ご主人が育てている観葉植物がある。

リビングから見える書斎。子どもたちが3人並んで覗き込むこともあるのだとか。
つづけて、「公園いらずの家なんです」と気になるひとこと。聞けば、子どもたちが家中でかくれんぼしたり、柱の周りをくるくる走ったり、階段の手すりや大黒柱によじ登ったり、ジャンプしたり。本当にさまざまな遊びを思いついて、雨の日でも退屈しないそうです。時にはお友達も一緒になって駆け回るのだとか。なんて楽しい家なんでしょう。

とんだり、はねたり、のぼったり。まるで家中アスレチック。
これからこの住まいをどうしていきたいかと尋ねてみると、「物置になっているロフトを活用したり、ロープをつけてもっと遊べる家にしたい」とご主人。奥様は、「子どもの成長に合わせて使い方も変わっていくので、成長も家も、一緒に進めていけたら。楽しんでいきたいですね」。子育て真っ最中の夫婦の暮らしには、まだまだ変化がありそう。これからどんな楽しい暮らしを実現してやろうか。そんなエネルギーとわくわくを感じる、春の日でした。

対岸からの眺め。夏になると目の前の川におりて、水遊びをすることも。
TIPS
◆使 い方さまざまな土間
家庭菜園や観葉植物を育てていても、土間なら植替え作業や、泥がついたまま上がっても大丈夫。掃除には電動モップが便利。
◆子育て世代必見!スロップシンク
子育て中は毎日のように出る汚れた靴や服。部活が始まるとドロドロのジャージなんかもたくさん…。そんな洗濯物も、洗面台とは別にスロップシンク(汚れ物用の深いシンク)を取付ければ汚れを気にせず洗えるので便利。
◆無邪気に要望を伝えてみる
今はだれでも簡単に情報が手に入るが、がちがちに固めず設計者に無邪気に伝えてみると、思ってもみなかったプロならではのアイディアをもらえるので、家づくりの時はそれを楽しむとよい。
【建築概要】
竣工:2024年
敷地面積:224.48㎡(約67.91坪)
延床面積:148.22㎡(約44.84坪)
photo: Chika Suzuki
text : 鈴木工務店
竣工当初の写真はこちらのWorksの「雪月風花」でご覧になれます。






