暮らしのコラム『第2回 天体とくらし』 季刊誌かきのたねvol.63より

「地球の水はどこから来たのか?」

人体の約60%、地球表面の約70%を占めている水(H2O, 分子量18)は科学的には非常に変わった性質を持っています。沸点が100℃、0℃で氷る(凝固点)事は知られていますが、実はこの事自体不思議なのです。酸素と同じ16族元素の硫黄(S)と水素が結合した硫化水素(H2S)は水より分子量が大きい(分子量34)にもかかわらず、沸点が-60.7℃、凝固点が-85.5℃と低いです。本来なら硫化水素より分子量が小さい水は沸点も凝固点も硫化水素より低くなければなりません。つまり、水の沸点と凝固点は科学的に予想できる値より高くなり、現在の地球環境で液体の水として存在できています。この水の性質こそが生命維持には必要不可欠になっている奇跡的な性質なのです。この水の性質の原因は「水素結合」です。

「水素結合」を説明するには紙面のスペースが足りないので、別な機会にお話しする事とし、副題の「地球の水はどこから来たのか?」に移ります。考えられるのは
①地球形成時に元々存在していた
②地球が形成してから地球以外の天体から飛来した
③その両方 です。
結論はまだ出ていませんが、③その両方、が有力視されています。地球以外の天体として候補に上がっているのは「彗星」です。「汚れた雪だるま」と言われる「彗星」は水を約80%含みます。この「彗星」は毎年、地球近傍にやって来て、「ほうき星」として我々の目を楽しませてくれます。

紫金山・アトラス彗星(C/2023 A3) 久々の肉眼彗星となりました。肉眼では写真ほど明瞭ではありませんでしたが、淡く尾を引く彗星を観察できました。桐光学園前にて2024年10月に撮影。

また、「流星群」の母天体は「彗星」や「小惑星」です。今年の夏の「ペルセウス座流星群」は終わりましたが、12月14日の「ふたご座流星群」、1月4日の「しぶんぎ座流星群」はこれからですので、楽しみにして下さい。太古の昔、「彗星」が地球に貴重な水をもたらし、生命を育む原動力になったと思うと、たまにやってくる「彗星」の撮影にも力が入ります。

しぶんぎ座流星群 2026年1月4日の0時27分〜6時2分の明るい流星を比較明合成したものです。星は日周運動で弧を描いていますが、流星は真っ直ぐ飛んでいます。今年のしぶんぎ座流星群は盛況でした。

レモン彗星(C/2025 A6) ダストの尾(白い)の他にイオンの尾(青い)も見られた彗星です。2025年11月に撮影。

【プロフィール】
村山哲也/山形大学名誉教授(ご自宅 設計施工:鈴木工務店)