お手入れ ら・ら・ら『台風--自然災害への備え』

季刊誌『かきのたね』に連載の住まいのメンテナンス「お手入れ ら・ら・ら」より、バックナンバー記事を紹介しています。今回は、台風シーズン到来に備えて、2018年の台風24号が家に与えた影響の実例から、定期メンテンナスの重要性をお伝えします。

「備えあれば憂いなし」とまでは言えない昨今の気象。
だからこそ、定期的なメンテナンスの重要性は増しています。

近年多発する大規模な自然災害。身を守ってくれる我が家も、場合によっては被害を受け、さらには与える存在となりえます。

2018年9末の台風24号では、鈴木工務店の施工物件においても、主に屋根まわりにいくつかの被害が生じました。以下にそれらの事例を挙げます。

 テレビアンテナの転倒

アンテナを支持するワイヤー支線の固定釘が抜けたことで、アンテナが吹き飛ばされた。釘を打ち付けていた破風材に経年劣化が生じていた。

突風による屋根板金の剥がれ

ガルバリウム鋼板波板屋根の軒先部分が捲れ上がる。留め付けビスの経年による緩みと猛烈な突風によるバタつきでビスが破断。鋼板は気温差による伸縮を繰り返すので、次第にビスが緩んでくることがある。

飛来物などによるOMガラスの割れ

飛来物による破損とガラス下地の腐朽に起因する破損が見られた。後者はガラス留め付けビスが下地の腐朽で効かなくなり、風でガラスが浮き上がったようだ。

10年に一度は足場を架けたメンテナンスを

事例の家は、目に見える部分の日頃の手入れはなされていました。では、どうやって被害を防ぐのか。やはり、10年に1度は家全体に足場を架け、普段見えない部分も点検することが必要だと考えます。その際、塗装業者に外壁・屋根の塗り替えだけを依頼するのではなく、板金屋による屋根まわりの点検や大工による腐朽部の補修などを行いましょう(工務店なら建物全体を工事監理、修繕できます)。メンテナンスフリーや長期耐久を謳う様々な建材がありますが、こまめなメンテナンスこそが一番の安心・安全・省コストにつながるのではないでしょうか。(『かきのたねvol.33 / 2018秋号』より)

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2020年8月半ばを過ぎ、台風の発生はまだ少ないですが、これからがシーズン到来です。鈴木工務店では定期点検のお知らせと実施をしていますが、こうした劣化は10年点検以降に顕在化することが多いのが実情。築10年以上でまだ全体的な修繕を行っていない場合には、不具合が生じる前のメンテナンスをお勧めします。