暮らしのスタイルーー「いっしょの家」 鈴木工務店の季刊誌『かきのたね』vol.48より

土地や人との縁を大切にした子育て世代の家づくりストーリー。空と緑とつながる豊かな暮らしをご紹介します。

縁とタイミングで決めた土地購入からの家づくり

川崎市麻生区の高台に建つ家を訪れました。南に開けた土地で陽当たり良好、近隣には畑や果樹園が広がります。この家に暮らすのは、40代のMさんご夫婦と5歳と2歳のお子様の4人家族。賃貸生活が長かったというご夫婦が家づくりに踏み切ったきっかけは、この土地との出合いからでした。
「二人とも地元が近いから、ゆくゆくは実家暮らしかなと思っていた矢先、恩師からこの土地が売りに出る情報を聞いて。ほとんど即決でした」

〝恩師〞とは奥様が小学6年生の頃の担任の先生で今ではご近所さん。以前からお子様を連れて先生のご自宅に遊びに行くことがあり、馴染みのある場所でご縁を感じたといいます。 「景色がよく、子どもが畑でのびのび遊ぶ姿を見てここに決めようと思いました」

同地で売り出されたのは全4区画で、このうち今よりも低地にある広めの土地を当初は希望していましたが、「鈴木工務店の設計者と一緒に現地に赴いた際、『景色やコンセプトを考えるなら高さのあるこの土地のほうがいいよ』とその場で具体的なイメージを示していただきました」
家づくりのパートナーに鈴木工務店を選んだ理由は、同社で家を建てたご友人からの紹介です。雑誌のOMソーラー特集にも取り上げられたその家の雰囲気―木の温もりに惹かれ、いつか家を建てるならお願いしたいと考えていたそうです。


2階リビングからの眺め、外の景色を切り取る窓

M邸の設計の見どころは、土地購入の決め手にもなった景色を存分に楽しめる2階リビングです。勾配天井のもと家族が集えるよう、ゆったりとしたワンフロアに。霞なく晴れた日には大窓から富士山や大山・丹沢が眺められます。

「家族みんなLDKで過ごすことが多いです。子どもたちは木の床が気持ちいいのかゴロゴロして、そのままお昼寝してしまうこともありますね。天気のいい日はバルコニーにござを敷いてピクニック気分を楽しむこともありますよ」
駐車場上はバルコニーとして有効利用され、LDKからのつながりや開放感を生んでいます。またキッチンの窓からは隣の果樹園、階段の窓からは桜が眺められるよう工夫されました。「窓がひとつの額縁のようで、四季の移ろいがたっぷり感じられます」と奥様。

竣工からの1年はコロナ禍での育休とも重なり、住み心地を体感する貴重な時間となったようです。
M邸もまた太陽光発電システムを搭載したZEH住宅のため、断熱・気密性についても満足度が高く、昨夏はエアコンのドライ(除湿)設定で過ごし、冬もあまり暖房に頼らず快適だったといいます。

自然をそばに感じながら大人も子どもも楽しめる家

今年の4月から職場復帰された奥様は現在多忙を極めていますが、そんななかでも窓外の景色を眺めながらキッチンでコーヒーを飲んだり、ちょっとした書きものをしたりする自分時間が楽しみなのだそう。ご主人もお休みの日は子どもたちを連れて近所に虫捕りにいったり、ダイニングでお酒を楽しんだりと家とその周辺で過ごすことが増えたといいます。

「ここに越すまでは虫が苦手だったんですけどね」とお子様のたくましい変化も感じているようです。
今夏は庭の畑でトマト、ピーマン、ナス、オクラ、里芋などさまざまな野菜を育てることにも挑戦。家族みんなで土に触れ、外から内から、自然を感じる暮らしを楽しんでいます。

text/Rie Shimizu
photo/Shinjiro Yamada
発刊/2022年9月

竣工当初の写真はこちらのWorksの「いっしょの家」でご覧になれます。