沖縄の古民家

以前訪れた沖縄、西表島の古民家を紹介します。

沖縄県最古の現存する木造茅葺住宅「新盛家住宅」は西表島の西部・祖納(そない)集落にあります。築140年以上と伝えられ、県指定の文化財とのこと。雨の中の訪問でしたが、珊瑚が積まれた塀の中にひっそりと建っている様子は独特の雰囲気をまとっていました。平板な形状のテーブルサンゴを重ねた塀と、深い軒先のバランスが絶妙で、大自然の中に溶け込むたたずまいが印象的です。

軒先から雨のしずくが伝うのを見て、かなり軒が低いのだと分かりました。今まで体験したことがないほどの低さです。台風対策のためではないかと思われます。南の果ての島で茅葺の家が現存してること自体が奇跡です。

釘や金具を使用しない、くさびで締めた貫木屋(ヌキジャー)と呼ばれる造りが特徴で、柱や梁に使用されている木材は西表産のフクギやイヌマキ とのこと。内装にはセンダンやフクギがつかわれているそうです。今回いろいろ調べていたら、なんと20191022日、8年ぶりに茅の葺き替えがおこなわれたとのこと。葺き替えにむけ約3500束の茅、たる木、竹、ク―チなどが準備され3日間で作業を終えた記事が新聞に掲載されていました。亜熱帯の西表島における茅葺屋根の寿命はわずか10年なのだそうです。

島でとれる材料で家をつくる。昔は当たり前の家づくりが、今やろうとしたら当たり前にはできません。昔の家を見て、家づくりの根本を考える機会となりました。(田中)