「水源税」・日本の森林資源

鈴木亨がコラム連載しているMY TOWN麻生/2017年7月号より「水源税」をお届けします。

***

【水源税】

写真は山林のイメージ画像です

日に日に山の緑が濃くなる相模原市青根地区の伐採現場から。下草刈りや間伐で手入れされ、山が美しくなった様子が分かります。道路に面し作業も容易な場所との話でしたが、急斜面での作業は慎重さを要していました。

 

家を一軒建てるには、約15~20立米の木材を使用します。木材の乾燥度は施工精度により異なり、乾燥度が低いと木材に狂いや割れが生じます。最近は人工乾燥の技術が進歩し、工期の短縮もあって、乾燥材が選ばれています。土場に整然と並ぶ天日干しの木材は、木の本来の色艶や強さを活かす天然乾燥材です。2世代以上の時と人手を掛けて用材になります。


戦後に植えられた木の多くが50年生以上になり、日本の山は成熟していますが有効に使われていません。その理由の一つが大幅値下がりした材価です。ピークの1980年に比べ、杉の価格は11%、檜の価格は16%。これでは木を切るほどに山が疲弊してしまいます。また、山は良質で安定的な水を確保する上で必要ですが、水源の森林エリア内の私有林の多くが、適切に管理・整備をされていなそうです。

そこで神奈川県は、水源かん養林など公益的機能の高い「豊かで活力ある森林」を目指し、「水源税(水源環境保全税)」を平成19年に導入。10年が経ち、さらに5年の延長を決めました。この水源税の活用が、人の手で山を美しくし、街の暮らしを守ることにつながっていると思います。 (鈴木)

 

***

記事から3年たっていますが、国産材の活用はまだ十分とはいえないようです。住宅着工件数も年々減少していますから、なおさらです。そうしたなかでも、適材適所で国産材を使った家づくりは続いています。来月初旬には、三重県産の天然乾燥材を使用した住宅をご覧いただけます。詳しくはこちらをご覧ください。