いえづくり・もう一つの選択 リノベーション

新百合ヶ丘エリアのフリーペーパー『MY TOWN 』鈴木亨の連載コラム、バックナンバー2019年7月号より

2020年竣工の築42年の戸建てリノベ。古材(梁)を現しにて天井高さを確保しています

いえづくり・もう一つの選択

 このところ戸建て住宅、マンションのリノベーション(大規模改修)の問い合わせと仕事が増えています。戸建ては、1981年の新耐震基準を境に家の構造基準が強化されましたし、2000年以降はその基準がさらに上がりました。リノベを前提に古家付きの土地を購入するなど、終の棲家として新築のほかにリノベの選択を考える方もいます。

ところで、建物や土地の価値は永続的に同じというわけではありません。周辺環境や経年劣化、その時の物価などで変動します。また、国税庁が定める木造住宅の法定耐用年数は22年。家の耐久性が向上し、国も中古住宅市場の活性化を後押ししていますが、不動産的な価値も22年でゼロなのが現状です。その間、固定資産税も低減しますが、こちらは施主のメリットで、築年数を経た家をリノベしても基本的には低いまま。一方で、新築ではその後20余年間で支払う固定資産税は大きな金額になります。

オーストリア、北イタリアで訪問した住宅の質の高さと金額に驚きました。建物だけで1億超の家でした。オーストリアでは「家の価値」に対して融資が行われ、売却時にほぼ同額かそれ以上になるそうです。日本は、生命保険に加入した個人に金を貸し、建物は20年後には資産価値ゼロに。それでは、良質な家の建築は難しいのが現状です。

家のつくり手からすると、リノベであろうと耐震、温熱環境を担保することに問題はありません。新築でもリノベでも、冬温かく、夏涼しい家で過ごすことで体への負荷を減らし、高齢になっても光熱費の心配がなければ健康で快適な暮らしを楽しむ余地も広がります。(鈴木)

2021年3月竣工予定の「築25年の戸建てリノベ」。CGイメージ画像

3/13(土)リノベーション完成見学会「築25年の戸建てリノベ」@玉川学園開催します

詳しくはこちらのイベントサイトをご覧ください。(畑野)