「素のままに」築24年の家 工務店の季刊誌『かきのたね』vol.45より

ライフステ ー ジの変化に寄り添うぬくもりあふれる木の家。竣工から24年経過した家族の暮らしをレポートします。

木の質感と2階リビングに魅かれて

ご夫婦とお子様 2人、お母様の5人が暮らす家として 1998年に計画されたFさんの家 。長い間雨風に耐えた米杉板張りの外壁は、落ち着いた趣きへ変化し、周辺環境ともよく馴染んでいます。玄関を入って階1は天井高さを抑えた和室 2室と水回りをバリアフリーで整えた「静」の印象。いっぽう 2階は約20畳のLDKをメインに 据えたダイナミックな空間で、柱・梁を一部現しにし、天井桧板張り、無垢フローリングで木の質感をそのままに残しています。時を経て飴色に変化した木がこの家の歴史を感じさせます。

奥様のお母様との同居が決まつた頃に話はさかのぼります 。「元の家は改築を重ねた古家で寒くて。(建て替えにあたり )どのハウスメーカーにするか悩んでいたのですが、新聞広告で目にした鈴木工務店のOMソーラーの記事が気になり 、直接見てみることにしました」(奥様)ところが実際にモデルハウスを訪れると木の質感のほうに圧倒されたといいます 。
「 何軒か内覧会に行ったけど 、私たちはこのナチュラルな雰囲気が好きだからその感覚が合ったのかな 。鈴木さんに決めてから気持ちがワクワクしたのを覚えている」(奥様 )
「 当時リビングといえば1 階にあるものだったけど鈴木工務店は 2階の提案もありました。2階にもデメリットは色々ありますが、開放感がいなと思って」(ご主人)
こうして木の家 、OMソーラー、2階リビングを主要素に 、将来を見据えてバリアフリーも考慮した住まいが完成しました 。

味わいが増す木の家  暮らしてわかった快適性

2階は勾配天井のもと 、家族5人が集えるLDKと子供室で構成。空気がめぐる仕切りの少ない間取りが特徴的です。1階にはお母様の居場所となる和室を配し 、浴室までの動線もフラットに 整えました 。「 和室にミニキッチンもつくったけど 、当時はまだ足腰も丈夫だったからその空間にとどまっているというとはなかったわね」(奥様)

仕事や子育てに追われながらも バルコニーの修繕や屋根の再塗装など最低限のメンテナンスをされてきたF さんの家 。10年ほど前にはお子様が独立されたタイミングで一気に模様替えを実行 。LDKのダイニングテーブルの配置をキッチン側から中央へ移動したほか 、造作カウンターを撤去し 、木の家の雰囲気に合う木製の収納家具を新たに設置されています。「木というのは経年変化が楽しめるからいいですね」としみじみ話すご主人「他所に行くとうちの良さがわかるんです」と奥様。

OMソーラーの使用感について尋ねると「冬は寒いと感じるこがないわね。あとは夏の暑さがしのげればいうことなし!」と太鼓判を押します。竣工時には気にならなかった暑さ対策については今後鈴木工務店に相談していきたいとのこと。

変わり続ける家族の暮らし。家も人も抗わず自然に

子育てがひと段落してからはお母様の介護に専念されていたFさんご夫婦ですが、ここ数年で暮らし方に変化が。「私が大病して、母のケアも難しくなって。母は施設へ移ることになり、今は1階の和室を私が使っています」(奥様)

闘病生活を経て体調が回復傾向にある今、やっと自分たちの暮らしに目を向けられるようになったそうで、「1階の東側に大きなキッチンがあったら、陽も入るし生活動線的に楽かも」と理想を話しつつ、「でも普通に生活を送れるのが一番」。ご主人も「欲をかかないで自然にくらすのが一番」と口をそろえます。

現在はシニア犬2匹のお世話を中心に回るFさんの家。傷つけたり粗相をしたり、無垢フローリングならお手入れが大変そうですが、「歳を取ったらそんなの気にしてられない!」と明るく返す奥様。ライフステージの変化をしなやかに受け入れる木の家は、今日もありのままの家族の足跡を刻んでいます。

text /  Rie Shimizu
photo / Chika Suzuki