建替えのタイミングを考える

実家を独立した(または近い将来独立する)お子さんのいるご夫婦から、住まいについてのご相談を受けます。子育て時期とは家での過ごし方が変化し、今の生活に合うように家を考え直したいというもの。また、昔の家は「とにかく寒い!」との訴えも大きいです。課題の解決に、建て替えかリノベーションを検討されていらっしゃいます。

建て替えであれば、断熱・気密、耐震性能が高水準で確保でき、プランも自由が効きます。一方で、リノベーションに比べてコストがかかります。リノベーションは建て替えよりもコストは抑えられることが多いですが、あくまでも既存建物の状態が住宅性能の向上やプラン変更に対して費用対効果が得られることが前提となります。築年数も含め、建物によってはリノベーションに適さない場合も出てきます。

建て替えか、リノベーションか、時期はいつが最適か。悩みどころですが、要は「どのように住まいを整えたいか」と、「少し先まで見据えた計画」を考えることが大事だとお話ししています。あ、ちなみに、鈴木工務店ではご相談ははじめから設計者が承ります。(いわゆる“営業”はおらず、営業から設計への伝言ゲームも生じません)

子育て期に建てた家は規模が大概大きく、建替えを選択された場合にはコンパクトで掃除とメンテナンスがしやすく、冬暖かく夏涼しい家を計画します。リノベーションの場合には、大きな家にすべて手を入れるのではなく、「選択と集中」で費用対効果を高めます。例えば、主な生活空間を1階に集約して住宅性能も向上させ、2階は手を付けずに収納として使用するなどの方法も。

資金計画と、お子さんの独立時期、ご自身の希望の暮らしや将来の計画が、家づくりの主な判断材料になりますが、実はお子さんの独立時期は曖昧です。近年では晩婚や、実家通いの社会人もとくに珍しいことではありませんから、悩ましい場合にはお子さんのスペースは最小限におさめることをお勧めしています。その代わりに、共有空間(リビングやダイニング)にゆとりをもたせます。お子さんの空間の扱いを割り切れるだけで、資金計画ほかを優先的に考えられるようになり、計画がスッと前へ進みます。

大屋根の下にロフトのような空間を設けました。ご主人の趣味室やお子さん家族が泊まりに来た時の滞在場所になります

現在、町田市三輪緑山でご夫婦による建替えが進行中です。大きな既存住宅を、大屋根の下にロフトと平屋のような間取りの空間がおさまるコンパクトな住まいです。12/19土、20日に完成見学会を開催します。ご興味のある方はこちらからどうぞ。(畑野)

敷地北側にはけやき並木が望めます。屋根面で断熱しているので、家中快適な室温が保たれます