森と鉄

当初の目的は森林浴でした。観光ガイドブックで見たときは 木造の変わった建物だなというイメージでした。越後松之山「森の学校」キョロロという名称でした。森のガイドさんに案内をしていただくための集合場所にその建物はなっていました。かなり山奥です。建物の入り口に着いて びっくり、木造だと思っていた外壁が実は錆びた鉄板でした。コールテン鋼といわれている耐候性鋼ですべてが造られていました。歩き始めて森のガイドさんから「この建物は手塚(貴晴・由比)さんという方が設計者です。」と聞いて更にびっくり。全く知りませんでした。かなり変わった造形でした。

 

森林ツアーが終了してから 建物をじっくり見学しました。14m巾の大開口は水族館と同じアクリル板でつくられていました。160段の真っ暗な階段をのぼる展望台もインパクトがありました。冬には5mから6mの積雪になる場所なのだそうです。

 

鉄というと森のイメージに合いませんが、錆びた鉄は何故か不自然には感じないのがとても不思議でした。素材の持つ力はすごい。その素材を選択して、あの豪雪地帯の山奥であの形に造形したことに対して設計する方もすごいが施工した方もすごいなと感動してしまいました。 田中 博